特別レポート

講演会『地方分権は行政書士にとって得か』の開催報告

投稿者: 幹事 樽見知子

2013-04-01


  平成25年3月16日、午後3時から、中央大学駿河台記念館602号室において、中央大学法科大学院教授、安念潤司先生を講師に迎えての学術講演会が開催されました。会場には満席どころか補助席が必要なほどの会員が集まり、また、いつもより女性の会員が多いような印象でした。
  演題は「地方分権は行政書士にとって得か」という、変化の激しい今の時代に即したものでした。ただ、深く鋭い御講義を拝聴しているにもかかわらず、ここ最近ないくらい笑ってしまうほど、ユーモアにあふれたお話しぶりでした。
  安念先生は、行政書士制度が確実に定着したことを示すものとして、家系図事件の最高裁判決(平成24・12・20)を取り上げられました。先生は、特に宮川光治裁判官の補足意見に言及され、これは行政書士法第1条の2第1項の解釈を明確に行ったものであり、行政書士が独占的に扱える書類の範囲が広くてそして深いこと(国民の社会生活の中で意味を有する書類であること)を最高裁が明言したととらえてよいのではないかとのことでした。
  また、国の財政難という事情から地方分権と規制緩和がますます進む状況を上げられ、公務員は親切になるものの、高度化した規制が行政事務の現場には残ることが予測されると述べられ、その困難化した事務手続に対応でき、かつ、いくらか自由になりかえって戸惑う市民へ的確なコンサルティングが行える能力が行政書士には必要であると指摘されました。
  そして、行政書士のクライアントが希望している「円満」を実現し、「事件」になることを予防することが行政書士の責務かつ存在意義であると安念先生の御講義を拝聴して肝に銘じました。
  この日の講演は行政書士とは何かという根源的なことを確認すると同時に、「地方分権」という大きな時代の流れを行政書士の業務と結び付けていく上で貴重なものでした。
  

(行政書士 樽見知子)



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